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自身を解き明かされる事を望むヴァンパイアと未知を追い求める科学者の研究の旅路 彗星を追うヴァンパイア

  • sw2406
  • 2024年9月25日
  • 読了時間: 4分

目次



価格・出版社・ページ数

価格:1700円+税

出版社:角川書店

ページ数:378ページ


著者情報

著者・経歴

河野 裕

徳島生まれ、兵庫県在住



主な執筆作品

サクラダリセットシリーズ

『昨日星を探した言い訳』(山田風太郎賞候補)

『ベイビー、グッドモーニング』(読者による文学賞受賞)

『いなくなれ、群青』(大人読書人大賞受賞)




本の簡単な紹介・あらすじ

イングランドの辺境トーキー


領主の養子であるオスカーは反乱軍と対峙していた、


勝機のない戦に策士を演じどうにか取り入ろうとする。


積分を使った弾道の計算により高精度の砲撃を見せ


自分を取引の材料としての価値を上げ交渉とするが失敗。


首を撥ねられる寸前、従軍していた詩学者に救われる。


その詩学者は未知の力で瞬く間に兵士を解体し、


背中に生えた翼でオスカーを抱え飛び去ってしまう。


「科学者が、死を受け入れる理由がありますか?」


未知を目の前にして死ねる理由など到底なかった。


激動の時代に学を志す青年と自分を解き明かされることを望むヴァンパイアの物語。


登場人物

オスカー・ウェルズ:イングランドの辺境トーキーの領主の養子、ケンブリッジでニュートンを師としている


アズ・テイルズ:ヴァンパイア、オスカーに自信を解き明かし仕えたいと思っている


アリソン・ウェルズ:オスカーの義姉


アイザック・ニュートン:ケンブリッジの自然哲学・数学者


リサ:ケンブリッジの掃除婦、ニュートンの講義を盗み聞きして学んでいる


クララ・ターナー:フェヴァシャム伯爵の婦人、強い影響力をもつ


面白かったところ

17世紀末のイングランドを舞台とした物語でニュートンなど、この時代の有名な科学者や


歴史の人物が登場する歴史ファンタジーであり、年と経験を経るにつれて人としても科学者としても成長していくのが見れる。


何故アズが人間に固執するか、彼の過去の出来事から語られており後悔と苦悩が良く描かれている。


人間と化け物というテーマで、交わることのないはずのものが共に過ごしていく中で友にな


っていくところは王道でよかった。


ニュートンの科学者としての側面と錬金術に手を出すことになるきっかけを本作のヴァンパ


イアと絡めており、とても興味深い解釈となっている。


読了時間


5時間

評価


読みやすさ


そこまで難しい話ではないが、知識があるとより内容を理解しやすい。


人によっては言い回しに違和感を感じる人はいるかもしれない


テンポ感


起承転結流れるようなシナリオでスルスルと読める。


分かりやすさ


ほとんどわかりやすく書かれており、用語には説明やルビが振られており理解に苦労しない。


どんな人におすすめ

・一人の生涯を通したシナリオを読みたい人


・人間とヴァンパイアといった異種族との関わりを描いたシナリオが好きな人


合わないと思う人


・爽快感のあるシナリオを求めている人


総括・感想

対象年齢

10~30

おすすめ度:★★★★


感想

壮絶な長い旅路を味わった気分になるストーリーでした。


彼の人生の中で不運によるトラブルを除けばほとんどを知を追い求めるのに費やしており、


今ほど平和でない時代の中で未知に対する探究心の強さと行動力にはとても驚かされました。


オスカーとアズは、長い年月をともにしたことで人と化け物の壁を越え友と呼べる存在にな


っていたことに気づいたシーンには涙しました。


当時のイングランドの知識や科学・科学者について知識があるとより楽しめると思います。




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